あまり知られていない「避妊インプラント」に遠隔式も登場

日本ではまだ認可されていませんが、腕に埋め込む皮下埋め込み式避妊器具があります。商品名を「インプラノン」「ネクスプラノン」といいます。これらは3年程度効果が持続するものでしたが、16年間稼働し、遠隔操作でオン・オフができるものがアメリカで実施されつつあります。。ここでは避妊インプラント全般について見ていきます。

国内では未認可

まずお断りしておきたいのですが、2018年現在、日本では避妊インプラントは認可されていません。もしどうしても行いたいなら「アメリカ」「オーストラリア」「韓国」など、認可されている国で手術してもらうしかありません。

「インプラノン」は2006年、アメリカで認可されました。日本は医療技術は10年程度遅れて認可されることが多いのですが、避妊インプラントについては未だ動きはありません。

日本は国政レベルでは明らかに男尊女卑です。ED治療薬である「バイアグラ」はわずか半年で認可したのに対し、ピルの認可も欧米に遅れること10年です。

アフターピル(緊急避妊薬)も海外の多くの国では薬局で買えたり無料で配布されたりするのに、日本では市販薬化は2017年に否決されています。

日本はこの分野では驚くほど後進国であることをまず申し上げておきたいと思います。

インプラントとは

インプラントとは英語で「植え付ける」「埋め込む」といった意味です。単独で使った場合欠損した歯を顎骨(あごぼね)に埋めつける歯科治療のことを言いますが、避妊具としてのインプラントとは黄体ホルモンを徐々に放出する器具を指します。

避妊のためのインプラントはマッチ棒のような大きさと形状を持つ器具で、主に腕の皮膚下に埋め込んで使います。

MSDという会社が製造しており、商品名は「インプラノン」「ネクスプラノン」で、現在は「ネスクプラノン」が使われています。

徐々に黄体ホルモンの一種であるレボノルゲストレルが放出され、避妊効果を発揮します。3年間は取り換えが不要です。

避妊効果はピルより上?

ほぼ100%の避妊効果があると言われています。ピルも相当優秀な避妊方法で、正しく服用しているならこちらも100%に近い避妊効果がありますが、飲み忘れがおきることは1度や2度はあるものですので、それを考慮に入れた場合この埋め込みインプラントは優れているといえます。

IUD、IUS(ミレーナ)なども同等に優れた避妊効果を持つ上に飲み忘れのリスクはないので有効度は高いのですが、出産経験のない女性には適用が難しいという欠点もあります。ですのでアメリカなどではインプラントは最も理想的な方法と捉えられつつあります。

具体的にはインプラントの避妊確率は99.9%、ピルを正しく使用した場合が99.7%、コンドームは82%と言われています。

ただ(おそらく)医療ミスが原因で、インプラント手術を行っても妊娠した事例もあります。

インプラントの費用

インプラントの施術費用は、除去手術などを含めた総額では800ドル(1ドル100円とすると80,000円)ほどかかります。

ピルはそれ自体では月額2,000円程度、初診料、再診料、検査等を含めれば月額3,000~4,000円はかかりますので、3年使えることを考えればインプラントの方が安くつきます。

ただし、国内では施術できないため、渡航費用やトラブルの対処などを考えるとそれなりの額にはなります。

インプラントの手術

局所麻酔を行いますので、痛みはありません。時間もかからず入院の必要もありません。取り外しの手術のほうが多少手間がかかるのですが、それほど問題なく終了します。

また、3年が経過しなくても妊娠を希望するようになった場合いつでも取り外しは可能です。

インプラントのメリットとデメリット

インプラントのメリットはだいたい以下のようなものです。

 ピルのように毎日の(薬を飲むという)行動をとる手間がいらない
 装着時の不快感・違和感がない
 いつでも着脱できる
 人によっては生理痛が軽減したり生理が止まったりする
 年齢に関わらず利用できる
 避妊成功確率が非常に高い

インプラントと最も比較対象となるのはピルだと思います。そのピルに対して「毎日時間を決めて服薬しなければならない」という手間が一切かからないのが最大の利点でしょう。

しかも適切にピルを運用するよりも避妊効果は信頼性が高く、不適切なピル使用(飲み忘れなど)に比べればはるかに安全・安定的に使えます。

デメリットは、

 手術の手間がかかる(現在は海外でしか行えない)
 主に始めに不正出血やむくみ・頭痛などが起こる場合がある(ピルも同様です)
 性欲減退や気分障害を起こすことがある。

現在日本でインプラントを行う場合、最大の問題は「海外で手術を行わなければならない」ことです。保険も利きませんし、取り付け・取り外し・交換とも外国で行わなければならないため渡航費もかかります。正式に認可されるまではこの点が最大の障害です。

それを除けばメリットのほうが大きいので、海外で認可されている国では非常に人気の高い避妊法になっています。

副作用について

ピル同様に生理痛の軽減効果がありますが、生理以外の出血である「不正出血」が長期間続く人もいるようです。これは子宮内避妊器具(IUD/IUS(ミレーナ))でもよくあるようです。

現在有効な避妊法は「インプラント」「IUS(ミレーナ)」「インプラント」「卵管結紮」ですが、卵管結紮は元に戻すことは基本的にできないものですから、通常はインプラント、IUS(ミレーナ)、インプラントの3択になってきます。

不正出血が嫌な人は(好きな人などいないと思いますが)トリキュラーなどの低用量ピルを使う方が良いかもせれません。ただし、低用量ピルでも最初の1~3ヶ月くらいは不正出血は起こり得ます。

他には頭痛や吐き気なども起こり得ますが、これはピルでも起こり得る副作用です。副作用を抑える薬もありますので、そう大きな問題にはならないでしょう。

ピルを毎日飲むのが負担になる方はインプラントやIUSが向いているといえます。きっちり生理周期を整えたい方は低用量ピルが向いているでしょう。

また、人によっては性欲の減退が起こる場合もあります。合う合わないというのは何事にもあることですが、一回の手術費用が高額になるため合わなかった場合は少し痛いことにはなってしまいます。

インプラノン・ネクスプラノンの違い

「インプラノン」「ネクスプラノン」はMSD社の販売する埋め込み式避妊インプラントの商品名です。インプラノンが最初に発売されたインプラントです。

ところが、英国でインプラノンを使用した500人以上の女性が妊娠するという事件が起こります。事実は確認できていませんがMSD社によると、インプラノン自体に問題があるわけではなく適切な埋め込み手術ができていなかったことが原因である、とされています。

しかし、信用が落ちたためか、インプラノンの販売を止め、インプラノンとは異なる埋め込みアプリケーターを採用、またレントゲンやCTに写るよう改良してネクスプラノンとして販売を始めるに至ります。現在ではほぼすべて「ネクスプラノン」が使われています。

ネクスプラノンの事故

インプラノンで妊娠してしまった事件を先に取り上げましたが、ネクスプラノンでも事故が起こっています。

ポルトガルの31歳女性がネクスプラノンを腕に埋め込んだ後、静脈に乗って肺に達していたという事故です。不正出血が続いたことで病院を受診してCT検査で発覚しました。

幸いなことに提出手術は成功し、命に別状はありませんでした。

恐ろしいことではありますが、医療に関しては何がしかのリスクを背負わなければなりません。ですので必要以上に事故に過敏になる必要はないと思います。

ピルはピルで「血栓症」による死亡事故も起きています。ですが両者とも非常に有効な避妊法ですので、メリットとデメリット、そしてごくわずかな致命的自己の可能性、これらを天秤にかけて、何を採用するかあるいは何もしないか考えることが必要になってきます。

最新の無線式インプラント

2019年現在、無線リモコン方式の避妊インプラントがアメリカで完成し、一部では実際の運用も始まっています。

リモコンでON/OFFを切り替えられるようになっており、OFFにすれば機能は停止し、妊娠可能に、ONにすれば黄体ホルモンの放出が行われ、避妊できる仕組みになっています。管理や調整をする必要もないと言われています。

更に優れた点として「16年間機能が持続する」という仕様が上げられます。これは大変なメリットです。

電波による操作ということで、他の電磁波の影響を受けてしまうのではないかとか、悪意を持ってアクセスされるのではないかという心配があると思いますが、皮膚に接触するほどの距離でしか反応しませんし、暗号化もなされるということですので問題はないようです。

これなら日本での認可を待たずに海外で手術するメリットもかなり大きいものであると言えそうです。

まとめ

インプラントは非常に有力な避妊方法と言えます。ただし、現在ではまだ国内で施術をしてもらうことができないのでハードルが高いことも確かです。

ピルを選ぶかインプラントの手術を行うかは様々な面で比較検討する必要があります。総合的に見て、現状日本ではピルの方がフットワークが軽くていいかもしれません。

使用に踏み切るかどうかはともかく、「インプラント」という避妊の選択肢があることだけは知っていてもらいたいと思います。

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