男性側の避妊法は現状「コンドーム」と「パイプカット」の2択

女性側の避妊法は「ピル」を始めたくさんの種類がありますが、男性側には「コンドーム」と「パイプカット」しかありません。
「膣外射精」というものもありますが、これは実は避妊が成立する方法ではありません。

ここでは男性側の避妊法について見ていきます。

膣外射精とコンドーム

膣外射精

コンドームを着けなくても体外で射精すれば大丈夫、と考えて、膣外射精を避妊法として採用している方もおられると思いますが。実は膣外射精では避妊になりません。

失敗率が高いこともあるのですが、射精をする前の分泌液の中にも少量の精子が含まれていますので、その時点でアウトなのです。

もし行っている人は必ず他の避妊法に切り替えて下さい。

コンドーム

日本で圧倒的に採用している人が多いのが「コンドーム」です。性感染予防としてはほぼ唯一効果のある方法ですが、避妊成功率は意外と低いです。破れたり、外れたりする事故が起きやすいからです。

女性側の避妊法である「ピル」などに比べればはるかに失敗の可能性が高いですので、これも避妊法としては心もとないものなのです。

ただ、申し上げたように性感染症防止には効果がありますので、女性側で「ピル」「IUS(ミレーナ)」などを使い、男性側でコンドームを使うのは理想的な方法ではあります。

パイプカット

「膣外射精」がダメ、「コンドーム」でも信頼性に乏しいとなると、男性側でできる避妊法としては「パイプカット」しかありません。しかしパイプカットは基本的に元に戻せない手術ですので、特定の条件にある人しか対象になりません。しかし手術が成功さえすればほぼ100%の避妊効果があります。

パイプカットは正式には「精管結紮(せいかんけっさつ)」と呼ばれます。陰嚢の中の精子を運ぶ管を切り離し、切り離した部分を塞ぐことにより生殖能力をなくしてしまう手術です。

手術自体は30分程度で、対象の部分は痛覚の鈍い部分ですし麻酔も行いますので痛みはほとんどありません。手術の痕もほとんど目立ちません。

手術は泌尿器科などで行われています。美容外科で行っているところもあります。手術費用は数万円~数十万円と開きがあります。信頼が置けて価格も良心的な施術施設でおこなうことが大事です。なお保険の対象にはなりませんのでご注意ください。

パイプカットのメリット

ほぼ100%の避妊が行えるのが最大のメリットです。男性にできる高信頼性のある避妊法は現状パイプカットのみです。

精液中に精子が含まれなくなるということですから、射精自体に問題はなく、精液もきちんと出ます

ただ、術後すぐに精子がなくなるわけではないので、完全に精子が存在しないことがわかるまでは他の避妊法を採る必要があります。

パイプカットのデメリット

デメリットは、基本的に「元に戻すことができない」点です。

ですから、結婚していて子供がすでにいて、もうこれ以上子供は作らないとはっきり決断した人が主な対象になります。夫婦間での話し合いももちろん重要です。

このように、男性が採ることのできる有効な避妊の選択肢は「パイプカット」だけだと言えるのですが、元に戻せないという大問題があります。また若いうちにするものではありません。そこで女性の「ピル」のような効果も高く可逆性のある(やめれば生殖能力が戻る)方法が模索されています。

男性版ピル

男性版ピルを作ろうという研究は昔から行われていました。ただ、現時点で運用可能になったものはまだありません。

試作段階のものでは、肝臓・腎臓に大きなダメージを与えたり、性格が攻撃的になったり、性欲がなくなってしまったりと副作用が許容範囲を大きく超えていました。

男性用経口避妊薬「DMAU」

しかし、最近研究が1歩進みました。2018年にシカゴの内分泌学会で、ワシントン大学とロサンゼルス・バイオメディカル研究所の共同研究の成果が発表されたのです。発表されたのは「DMAU」というホルモン剤です。

これは男性の精巣内の男性ホルモン値を下げて精子を生産しないようにする内服薬です。これを内服することで精巣内のテストステロンの値が大幅に下がり、避妊薬として使える見込みが出てきました。

重篤な副作用も抑えられています。ただ10%強の人にやはり性欲減退が起こったり、ほとんどの人で体重増加の副作用は認められたようです。

しかし、今後も研究は進みますので、男性用ピルの完成はそう遠くはないのかもしれません。

女性側で行える避妊法について

見てきましたように男性側で行える避妊法は非常に少なく、しかもどれも問題のあるものです。その点女性側で行える避妊法はバリエーションに富んでいます。

国内で最も優秀なのは「ピル」と「IUS(ミレーナ)」です。

「インプラント」「注射」「パッチ」などもあり、特にインプラントは優秀ですが、これらは日本ではまだ認可されていません。

「ミニピル」や「卵管結紮」という方法もあります。また、避妊に失敗した後に飲む「アフターピル」という方法も存在します。

今回は国内で行えるという点から「ピル」「IUS(ミレーナ)」「アフターピル」「卵管結紮」について簡単にご説明します。

ピル(経口避妊薬)

毎日決まった時間に飲み続けることにより、飲み忘れさえなければ100%に近い避妊効果を誇ります。しかもいつでも止めることができ、止めれば再び妊娠できる状態に戻ります。

不妊症になるという誤解がありますがこれは全くの誤解で、卵巣と子宮を休ませることができるので、むしろ将来正常な妊娠がしやすくなります。

21日服用して7日休むという方式が一般的です。飲み忘れを防ぐため最後の7日間にプラセボ(成分の入っていない偽薬)を飲むタイプもあります。休薬期間に生理(消退出血)が来ます。

そして、これは非常に大事なことなのですが、ピルは生理痛を大幅に軽減します。生理痛だけでなく、生理にまつわる様々な不快症状が抑えられます。

生理時の下腹部痛・頭痛・腰痛・精神症状などがひどい場合を「月経困難症」といいますが、その中の一つである「子宮内膜症」を含む様々な辛い症状がピルの服用によって軽減されます。

生理前に同じような苦痛が起こることを「月経前症候群(PMS)」と呼びます。この症状もピルでずいぶんと楽になります。

飲み忘れなく確実に服用すること、月額2,000~4,000円程度の費用がかかることがデメリットですが、ピルは避妊効果も生理にまつわる様々な不快症状を抑えることもできるのが大きなメリットとなっています。

IUS(ミレーナ)

IUS(ミレーナ)は、子宮内に装着する器具で、黄体ホルモンを放出し続けます。最長5年間取り換える必要はなく、妊娠を望むようになればいつでも取り外すことができます。

避妊成功率は、正しく使った場合(飲み忘れがないなど)のピルとほぼ同等の高率です。飲み忘れなどの事故の可能性を含めればピル以上とも言えます。

ただ、出産経験がない女性には使いづらいこと、不正出血がかなり長期間続く可能性があることなどが欠点と言えば欠点です。

アフターピル

アフターピルは「緊急避妊薬」とも呼ばれ、避妊に失敗した後に女性が服用し、妊娠を阻止するピルです。

100%妊娠を阻止できるわけではないことに注意です。また、性交渉後できるだけ早い時間に飲む必要があります。遅れれば遅れるほど避妊成功率は落ちます。遅くとも3日以内に飲まないと効果は非常に薄くなります。

また、費用も高額で、1回分で15,000円ほどかかります。

さらに日本では市販薬にはなっておらず、医師に処方してもらう必要があります。

ですが、放置して中絶という事態になったら更に費用も心身へのダメージも大きくなりますので、避妊に失敗した際には使用したほうがいいでしょう。

卵管結紮

卵管結紮は卵子の通り道である卵管を縛ったり切り離したりする避妊の方法です。男性のパイプカットに相当します。

基本的に元に戻すことはできないものですが、避妊成功率は相当に高くなります。

「パイプカット」「卵管結紮」の再吻合

女性の避妊手術である「卵管結紮」は基本的に元に戻せなくなるという覚悟を持って行うものですが、「再吻合」手術によって再び妊娠できるようになる可能性はあります。

成功率は年齢によって異なり、若いほど成功可能性は高くなります。実際には73%~46%と言われています。

参照:不妊手術 – 22. 女性の健康上の問題 – MSDマニュアル家庭版
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0/22-%E5%A5%B3%E6%80%A7%E3%81%AE%E5%81%A5%E5%BA%B7%E4%B8%8A%E3%81%AE%E5%95%8F%E9%A1%8C/%E5%AE%B6%E6%97%8F%E8%A8%88%E7%94%BB/%E4%B8%8D%E5%A6%8A%E6%89%8B%E8%A1%93

男性のパイプカットの再吻合は女性の卵管結紮再吻合より難しくなります。パイプカットをした後年月を経るごとに成功率は下がっていきます。

ですが、かなり経ってからの再吻合でも可能性はゼロではありません。

ともあれ、基本的考え方として「卵管結紮」や「パイプカット」はもう生殖能力を失ってもよいという覚悟の元行うべきものです。

ただし、卵子・精子が作られる余地が残っているならば「体外受精」という方法もありますので、どうしても子供が欲しくなった場合に「再吻合」「体外受精」を行うことも考えてみて下さい

まとめ

現段階では男性側で「効果十分」で「元に戻せる」避妊法は確立していません。

「膣外射精」は避妊にはなりませんし、「コンドーム」は成功率において不十分です。「パイプカット」は元に戻せないという認識が基本です。

実際には「コンドーム」に頼る他ないのが現状です。

ですので女性側で「ピル」や「IUS(ミレーナ)」を使って避妊万全の態勢をとり、コンドームは性感染症予防の意味で併用する、というのが理想です。

希望があるとすれば「男性版ピル」です。これは原理的に女性のピルよりはるかに難しいものですが、研究は進んでいますので今後に期待したいところです。

実際の避妊法をどうするかは正確な知識を持ったうえでパートナー同士でよく話し合って決める、これが基本かつ最終的な解決策になるかと思います。

 

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