開発が進む「男性用ピル」

男性が行える避妊方法と言えば「パイプカット」か「コンドーム」しかありませんでした。
どちらも問題のある避妊法で、女性の「ピル」「IUS(ミレーナ)」「注射」「インプラント」などに比べ実用性に劣ります。
そこで「男性用ピル」の開発はずっと前から行われてきました。それがようやく少し進展しているのです。

従来の男性の採れる避妊方法

現在男性が行える避妊法としては「パイプカット」か「コンドーム」しかありません。しかし、そのどちらも問題点を持っています。

パイプカットは避妊効果は抜群なのですが、元に戻すことは基本的にできません。ここが大問題です。やめればいつでも妊娠可能となる女性の「ピル」「IUS(ミレーナ)」「注射」「インプラント」とは全く違う性質の避妊法になっています。

コンドームは事故(破れる・脱落する)が多く、全体として避妊効果は意外と高くありません。コンドームは避妊法ではない、とまで言う識者もいます。ただ、性感染症防止のためにはほぼ唯一役に立つものですので、その点での有用性は下がることはありません。

膣外射精というものもありますが、これは全く間違った避妊法です。正確には避妊法ですらありません。失敗率が高いだけでなく、射精前の分泌液にも少量の精子が含まれていますので、これでは十分妊娠の可能性があるのです

そこで、女性の「ピル」のように可逆性(やめれば元の状態に戻る)があり、かつ避妊効果の十分な「男性用ピル」の開発はずっと以前から試みられてきました。しかし、まだ完成には至っていません。

なぜ男性用ピルは開発が難しいか

男性用ピルの開発が難しいのは、女性の場合は卵子一個の排卵を止めれば足りるのに、男性では1億以上の精子を制御しなければならないからです。

精子の生産を止めるアプローチは以前から研究されていました。男性ホルモンである「テストステロン」を投与し、脳にテストステロン量は十分と誤認させて精巣でのテストステロンの生産を止めるものです。

週に1度か月に1度、テストステロンを注射するという方法も考えられましたが、頻繁にそれを行い続けねばならないという欠点や性格の変容、性欲の低下など不都合が多いものでした。

経口で投与する場合肝臓に負担がかかるうえ、すぐに分解されてしまうため、これも実用に至りませんでした。

男性用経口避妊薬「DMAU」の開発研究

2018年にシカゴの内分泌学会で、ワシントン大学とロサンゼルス・バイオメディカル研究所の共同研究の成果が発表されました。発表されたのは「DMAU」というホルモン剤です。

DMAUはピルのように、これを内服することで精巣内のテストステロンの値が下がります。男性のテストステロン量は350ng/dl~1100ng/dlですが、この研究では13ng/dlにまで下げることができたということです。

この研究では精子の減少量まではモニターしていなかったようですが、安全性という意味で大成功でした。性欲低下や肝臓・腎臓への大きな負担がみられなかったということです(ただし性欲低下は10%程度の人にみられました)。

しかし、体重増加の副作用が確かにあるようでした。

今後はもっと長期間の試験をし、精子生産量の変化も測定するということです。性欲低下などの副作用についても同様で、すぐに実用段階に入るようなわけにはいきませんが将来的に有望な研究成果であることは間違いありません。

参照:男性用のピルの開発が難しいのはなぜか? – ログミーBiz
https://logmi.jp/business/articles/284417

参照:男性用ピルの実現が最新研究によって現実味を帯びる – GIGAZINE
https://gigazine.net/news/20180322-male-birth-control-pill-study/

まとめ

女性主体で避妊できる「ピル」は非常に画期的なものです。しかし、女性は「毎日決まった時間にピルを飲み続ける」「費用がかかっている」「副作用もなくはない」という条件を受け入れてピルを服用しています。

男性にも同じような方法があればいいのですが、現在のところ問題なく使える男性用避妊法は確立されていません。

ですが、研究は着々と進んでおり、10年もすれば街のドラッグストアで男性用ピルが販売されているかもしれません。

今後の研究に期待するところ大だと思います。

 

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