男性にこそ知ってほしい「生理」「避妊」「ピル」

女性は「生理」「出産」という男にはないつらい出来事・重い役目を背負っています。そして「避妊」にも気を配らなければ女性は自分を守れません。これらは男性にこそ知っておいてほしい事柄です。ここでは「生理」「避妊」「ピル」など是非男性に理解してほしいことについて分かりやすくお話しします。

女性に対する理解

女性は毎月生理(月経)があります。これはしばしば激痛を伴ったり、不快な思いをしたりするものです。妊娠の痛みは男性には耐えられない程であると言われることもあります。

男性は女性を理解し、守る騎士であるべきです。こう言うと返って女性に「守ってもらわないといけないような頼りない存在ではない!」とお叱りを受けるかもしれませんが、生物学的にはそうなのです。カマキリは交尾の後メスに食べられてしまいますし、オスというものはもともとメスからの変異体です。

それはともかく、生理でつらい時の配慮や、出産・子育てへの理解と協力は不可欠です。

まずは「生理」についての基礎知識について見ていきます。

「生理」~毎月来る大変な重み~

生理(月経)の基礎知識

女性には「生理周期」というものがあります。以下のサイクルで状態が遷移します。

「卵胞期」 → 「排卵」 → 「黄体期」 → 「生理(月経)期」

まず前回の生理が終了すると「卵胞期」という卵胞(卵子の素)が育っていく期間になります。およそ10日間のこの期間は卵胞ホルモン(エストロゲン)の作用で心身ともに快調な時期です。この時期に子宮内膜という受精卵が着床する部分が育っていきます。

それが終わると「排卵」が行われます。ちなみに経口避妊薬である「ピル」はこの排卵を止めます。

排卵後は「黄体期」になり、身体や心の不調が続く時期が10日間ほど続きます。この時期に子宮内膜は厚さを増し、赤ちゃんが育てられるようふかふかの状態に成長します。この時期の女性は精神的にもバランスを崩し、攻撃的になったりもしますので、男性は暖かい態度で接することが重要です。女性本人の意志ではなく、生物的にそういう風になっているからです。

妊娠が成立しなかった場合、子宮内膜ははがれ落ちて経血となって体外へ排出されます。これが「生理(月経)」です。この時期の女性は経血の処理はもちろん、生理痛・頭痛・腰痛など様々な辛い思いをします。生理休暇を認可裁定する立場にある人は理解ある対応をしてください。体育教師もそうすべきです。生理期間はだいたい7日間未満です。2日目当りが最もつらいという女性が多いです。

女性にとって生理期・生理前がもっともつらい時期であることを憶えておいてください。

月経困難症

生理が日常生活に支障をきたすほどつらいものである場合を「月経困難症」と言います。これには「子宮内膜症」などの病気が原因である場合と、特に病変がない場合があります。この場合仕事などおぼつかない状態になります。

対応策は比較的軽度なら「鎮痛解熱剤」、どんな場合でも非常に効果のあるのが「ピル」です。ピルは避妊薬として一般に知られていますが、月経困難症軽減目的で服用する女性も大勢います。ピル=避妊、だけではないのです。

月経前症候群(PMS)

月経(生理)前に心身のよくない症状が強く出る場合を「月経前症候群(PMS)」と言います。月経の3~10日間の内に起こり、生理が始まると症状が治まります。

特にその精神症状が重い場合を「月経前不快気分障害(PMDD)」と言います。抑うつ、絶望感、集中力の低下、イライラ、攻撃衝動、希死念慮などが起こり得ます。アメリカではうつ病の1種と認められています。

この時期の女性の辛さは相当なものです。また、イライラして暴言を吐いたり、攻撃衝動を覚える場合もありますので、周りはPMDDというものがあり、仕方のないものだと認知することが求められます。

PMSにはピルがよく効きますが、PMDDの場合心療内科・精神科などの支援が必要な場合もありますので、場合によっては受診を(気を配りつつも)勧めてみる必要もあるかもしれません。

「避妊」の正しい知識

コンドームは避妊失敗率が高い

日本では避妊はコンドームが最もポピュラーですが、これは意外に避妊失敗率が高いもので、コンドームのみに頼った避妊はかなり危険です。ですが性感染症予防の観点からは唯一の身を守る手段ですので、信頼のおけないパートナーの場合コンドームの使用は非常に大事です。

もちろん女性から使用を求められたときは必ず協力してあげて下さい。これは最低限のルールです。性感染症の中にはHIV(エイズ)や肝炎ウイルスなど、根治が難しい病気もありますのでここは重要なところです。

膣外射精は論外

女性側が避妊措置を取っておらずコンドームも使用していない場合、射精時のみ体外に行うといういわゆる膣外射精は避妊法とは言えないものです。失敗率が高い上に、射精前の分泌液にも少量の精子が混じっていますので、膣外射精では避妊になりません。

ここは誤解が多いところですので、知らなかった人は完全に思考を切り替えて下さい。

ピル

詳しくは後述しますが、ピルは正しく服用している限りほぼ100%の避妊成功率を誇る避妊方法です。身体への悪影響も約束事を守っていれば大きなものではなく、女性主体で避妊できる良い薬です。だからと言ってコンドームなしでの性交渉を押し付けるのは許されないことです。ピルには妊娠阻止効果はあっても、性感染症予防効果はないからです。ピルとコンドームを併用するのが一番安全と言える避妊法の一つです。

また、ピルには月経困難症、月経前症候群(PMS)の大幅な軽減効果があり、それを目的に服用している人も大勢います。そういった女性に偏見を持つというのも非常にナンセンスで、スマートでない考え方です。もちろん避妊目的で飲んでいるのも倫理的に悪いことなど一つもありませんのでよく考えてみて下さい。

IUS(ミレーナ)

「IUS(ミレーナ)」は子宮内に長期装着しておく避妊具です。IUSからは徐々に黄体ホルモンが放出され、避妊成功率もピルと同等です。ピルが飲み忘れなどの事故を起こす可能性があるのを考えると、総合的にはピルより避妊額率は高いとも言えます。

ただ、未出産の女性には使いづらい点がありますのでその点は問題です。また、不正出血といって、生理以外の出血を(特に使用し始めに)起こしやすいのもデメリットと言えるかもしません。

IUSは一度装着すると5年間取り換える必要がありませんので、ピルが毎日忘れずに毎日飲み続けなければならないことを考えれば、毎日の面倒という面では便利です。

卵管結紮

卵管をひもで括ったり、切り離したりして排卵が起こらないようにする「避妊手術」です。避妊成功率は高いのですが、再び妊娠したくなった場合元に戻せる保証はありませんので、基本的にもう出産しないと決めた人向きです。

アフターピル

「アフターピル」は「緊急避妊薬」とも言われ、あきらかに避妊に失敗した性交渉の後で飲む避妊薬です。一般に使われるピルは女性ホルモンの一つ「エストロゲン」の量が少ない「低用量ピル」「超低用量ピル」ですが、アフターピルはエストロゲン量が多い「中用量ピル」を使います。

避妊に失敗した性交渉の後、できるだけ早く飲む必要があります。時間が経てば経つほど緊急避妊の成功率は下がります。遅くとも3日以内に飲まなければ効果はあまり期待できません。

従来から「プラノバール」という中用量ピルを使う「ヤッペ法」がありましたが、これは安価である反面副作用や面倒ごとが多く、現在は「レボノルゲストレル」をつかう「ノルレボ法」が主流です。

諸外国ではドラッグストアなどで買えたり、無料で手に入る国が多いのですが、その点日本は驚くほど遅れており、病院で医師に処方してもらうしかありません。

妊娠を阻止できる確率は普段から低用量ピルなどを使っている場合に比べ劣る上、値段も1錠15,000円以上かかるので、最初からアフターピルを使うつもりで性交渉をするのは現実的ではありません。

最低でも男性は「アフターピルがあるんだから避妊しなくてもいいだろう」などと女性に持ち掛けるなどしてはなりません。もってのほかです。あくまで「最後の砦」であることを忘れないでください。

ピルについて

ピルは海外では一般的な避妊法です。アメリカ・ドイツ・イギリス・フランスなど先進諸国では、40%以上の女性がピルを使用している国もあるほどですが、日本では1~4%程度と明らかに普及が遅れています。

ですが、ピルは現実的には最も使いやすい避妊法です。

ピルの避妊の原理

「排卵を止めること」「子宮内膜の増殖を抑えること」「子宮頸部の粘液の粘性を高めて精子の侵入を防ぐこと」の3つの作用がピルにはあり、これらの作用のため避妊が成立します。飲み忘れなく服用している場合、避妊成功率は100%に近いものとなります。

ピルの値段

医師の処方が必要なため、初診料・再診料などを含めると1ヶ月分2,500円~4,000円程度かかります。ピルそのものの値段は1,600円~2,500円程度です。

ピルの運用

毎日同じ時間帯に忘れずにきっちりと飲む必要があります。

多くのピルは21日間服用し、7日間休みます。飲み忘れ防止のため、7日間の「休薬期間にプラセボ(偽薬)を飲む場合もあります。この休薬期間に消退出血(生理)が起こります。

継続して飲んでいる限り、全期間において避妊効果は発揮されます。

ピルの副効果

ピルは排卵を止め、子宮内膜が厚く成長するのを抑えるため、生理痛が劇的に軽減されます。「月経困難症」、その中の一つの「子宮内膜症」、「月経前症候群(PMS)」の緩和にも大きな効果を発揮します。ピルは避妊のためだけにあるものではないのです。

実際、いくつかの低用量ピル・超低用量ピルは、月経困難症のために処方され保険対象になるものもあります。

その他「卵巣がん」「子宮体がん」のリスクを下げる効果や、卵巣や子宮を休ませることができるため、将来正常な妊娠が成立しやすい状態になるという効果もあります(ピルで将来不妊になるというのは都市伝説にすぎません)。

ピルの副作用

「乳がん」の発症率がわずかに上がるという報告があります。僅かなのですが、女性のがんの第1位が乳がん、ガンでの死亡数の第5位も乳がんですので、ピルの服用の有無に関わらず乳がん検診は受けておくことが推奨されます。マンモグラフィーという優れた検査法がありますので2年に1度は受けておくべきでしょう。

他に、死亡に至る可能性のある疾患として「血栓症」があります。これは血管の中で血の塊ができて、時としてそれが肺や心臓の血管を塞いでしまうと死亡に至ることもあります。ピルの服用のみではリスク増加はわずかなのですが、これに「喫煙」「高年齢」「肥満」などの要因が重なると発症率が上がります。特に喫煙は血栓症発症率を飛躍的に上げるため、ピルを飲む人は基本的に喫煙はNGです。

まとめ

まず、女性には「生理」というものがあり、非常につらい思いをするのですから、男性は十分にそのことを理解し、配慮する必要があります。特に「月経困難症」や「月経前症候群(PMS)」「月経前不快気分障害(PMDD)」の女性への理解と配慮は欠かせません。

「避妊」については、膣外射精は全く避妊とは呼べない方法であること、コンドームは意外に避妊失敗率が高いということを認識してください。ただしコンドームは性感染症予防という点ではほぼ唯一の方法ですので、女性が望むなら、また危険と判断した場合ではきちんと使用すべきです

国内での避妊法で最も使いやすく効果も信頼できるのが「ピル」です。様々な効果のある優れた薬ですので、ピルに偏見を持たないでください。逆にパートナーが月経困難症や月経前症候群(PMS)である場合、ピル服用を検討することを勧めるのも良いと思われます。ちなみにピルは服用をやめればいつでも妊娠可能な状態に戻れます。

常に女性の立場や健康を理解できる素敵なジェントルマンになれるといいと思いませんか?

 

 

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