「消退出血」「破綻出血」「不正出血」の意味と違い

膣からの出血において、「消退出血(生理)」と「破綻出血」「不正出血」「排卵期出血」など、違いが分かりにくい用語があります。
それらについて簡単にご説明します。

消退出血(生理)

「消退出血」と「生理(月経)」は区別されえることもありますが、ここでは同じものとします。
消退出血とは正常な生理(月経)のことです。

区別される場合というのは、ピル(経口避妊薬)を飲んでいるときの正常な出血を消退出血と呼び、ピルを使用していないときの正常な出血を生理(月経)とする場合です。

しかし、これはどちらも最も正常な周期的出血です。

月経周期と消退出血(生理)の仕組み

月経周期の仕組みは本当は少し難しい説明をしなければなりません。用語として「視床下部」「下垂体前葉」「性腺刺激ホルモン(Gn-RH)」「卵胞刺激ホルモン(FSH)」「黄体形成ホルモン(LH)」「ゴナドトロピン」などが出てきますが、今回はこれらについては触れません。

月経周期は「卵胞ホルモン(エストロゲン)」と「黄体ホルモン(プロゲステロン)」の変化によって、4つの段階に分けられます。

まず「卵胞期」。卵胞ホルモン(エストロゲン)が分泌され子宮内膜の厚みが増していきます。
エストロゲンのおかげで心身の調子は概して良いものになります。これが十数日続きます。

次に「排卵期」。エストロゲンの分泌がピークに達し、排卵が起こります。

そして「黄体期」。排卵が起こった後は卵胞が黄体という組織に変化し、黄体ホルモン(プロゲステロン)が分泌されます。
内膜を支える力が増していき、受精卵の着床に適した状態になります。
身体的・精神的に問題が起こりやすい時期で、ここで大きく調子を崩す人を「月経前症候群(PMS)」「月経前不快気分障害(PMDD)」などと呼びます。
これらがあまりにもつらい場合、ピル(経口避妊薬)や抗うつ薬の投与が効果を発揮します。

最後に「月経期」。受精卵が着床しなかったら、プロゲステロンの分泌が急激に少なくなり、子宮内膜に血液が流入しなくなります。結果、子宮内膜がはがれ落ち、月経(生理)となります。

この段階を正常に経て月経(生理)が起こるものを「消退出血」と呼びます。

この「消退出血」以外の出血は全て「不正出血」になります。

破綻出血

排卵が正常に起こると、黄体ホルモン(プロゲステロン)が分泌されます。卵胞ホルモン(エストロゲン)が子宮内膜の厚みを増加させ、プロゲステロンが厚くなっていく子宮内膜をしっかりした安定性のあるものにしていきます。

しかし、何らかの原因で排卵が起きなかった場合、プロゲステロンが分泌されません。
一方でエストロゲンは子宮内膜を厚く成長させ続けます。

そうなると、子宮内膜を支え続けることが困難になり、支えきれなくなった部分の子宮内膜が崩れて出血になってしまいます。
これが「破綻出血」です。

破綻出血では正常な消退出血(生理)のようにすべての子宮内膜がきれいにリセットされるわけではありません。
支えきれなくなった部分のみが崩れて出血となります。
ですから、不定期に比較的少量の出血が繰り返されたり、だらだらと続く出血になってしまいます。

この破綻出血を止めるには、一度プロゲステロン量を上昇させ、そして低下させる必要があります。
治療法としてはプロゲステロンの内服が一般的になります。

このように、破綻出血は正常な生理ではありませんので、述べたような症状が続く場合は婦人科を受診してください。

排卵期出血

通常、生理周期の中ごろに排卵が起こります。その際には女性ホルモンが大量に放出されるため、出血を起こすことがあります。
これを排卵期出血、もしくは中間期出血と言います。

これは特に異常なものではありませんので問題はありません。

不正出血とは消退出血(月経)以外の性器からの出血の総称

消退出血(生理・月経)以外の性器からの出血を総称して「不正出血」といいます。「破綻出血」も「排卵期出血」も不正出血です。

その他の不正出血の原因として「子宮頚部びらん」「膣炎」「子宮頚がん」「子宮筋腫」「頸管ポリープ」「卵巣機能不全」などさまざまなものがあります。
その中で一番心配なのが「子宮頚がん」です。

子宮頚がん

子宮頚がんは子宮の入り口に起こる悪性腫瘍(がん)です。

ほとんどの場合、性行為によって感染する「ヒトパピローマウイルス(HPV)」によって発生します。HPVはごくありふれたウイルスで、性交経験のある女性の半数以上が一生のうちに一度は感染すると言われています。

感染したとしても90%の人は身体の免疫機構によって自然に排除されます。
残りの10%のうち自然治癒しない場合、HPVが長く体内に留まり長い年月をかけて子宮頸がんを起こします。

初期では自覚症状がない場合が多いのですが、進行すると「不正出血」「おりものの異常」「性交時の出血」「下腹部の痛み」などの症状が現れます。

子宮頸がんへの対処は「HPVワクチンの接種」「子宮頸がん検診」の二つです。

HPVワクチンの接種は子宮頸がんの60~70%を防ぐと言われています。まだ性交経験のない10代前半の内の摂取が望ましいです。一度HPVに感染してからではワクチンの効果が得られないからです。ワクチン接種によると思われる健康被害があったため現在はワクチン接種の「積極的推奨」はされていませんが、その因果関係ははっきりせず、基本的には受けておく方のメリットが上回ると考えられますので、可能であれば接種を考えてみて下さい。

あと有効なのは(どんながんにも言えることですが)早期発見です。2年に1回の子宮がん検診は必ず受けたいところです。

もう一つ付け加えると、「ピル(経口避妊薬)」の服用で子宮頸がんのリスクが高まるというのは本質的な意味において誤りです。ピルを服用することによってコンドームを使用しない性行為が行われるケースが増えるため、間接的にHPVの感染要因になるというだけのことです。逆に言うと、コンドームはHPV感染防止に有効であると考えてよいでしょう。

まとめ

用語の違いをまとめると次のようになります。

「消退出血」・・・通常の生理(月経)
「不正出血」・・・消退出血以外の性器からの出血のすべてを指す言葉
「破綻出血」・・・無排卵でプロゲステロンが分泌されないことによる子宮内膜の崩壊
「排卵期出血」・・・排卵のタイミングで少量の出血が起きるもの。中間期出血とも言う

排卵期出血以外の不正出血は体内で何らかのトラブルが起きているサインですので、何度も繰り返すようであれば病院で診てもらって下さい。

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